石垣島便り

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2012年 12月 03日

ヘソに灸をすえる(モダマ種子の発芽処理法)

モダマの種子は、そのまま土に埋めてもなかなか発芽しない。
あきらめて、すっかり忘れてしまった頃「あら!こんな所にツルが伸びてる」と気づく。
それも、1年後であったり、2年後であったりする。
しかし、ひとたび発芽して、ツルが伸び始めると成長は早い。
「ジャックとマメの木」のように一晩で、天まで届くとはいかないが、
みるみる1メートル程になって、葉の巻きヒゲで絡むものが無いと倒れてしまう。
葉の展開するのも遅いから、ヒョロヒョロで危なっかしい。

普通の種子は、適季に土に蒔いてやれば3日から1週間で、大概のものは発芽する。
モダマ種子の場合、硬実種子と言って、種皮が硬く、表面を吸水阻害層が覆っているため、
なかなか吸水しない。それだからこそ、長い間、海水に浸っていても種子の中の胚は
生きていられ、海流散布も可能なのだ。

別な見方をすれば、種子の中の水分が種皮の外に出ないため、長い期間、天候不順で
雨が降らなかったり、水に恵まれない環境にあっても生きながらえるのであろう。

人が観察・テストする時、や栽培しようとする時、自然に発芽するのを待っていたら、
時間ばかし浪費してしまう。

そこで、林業や農業の分野で栽培される硬実種子の発芽処理は、
これまでにいろいろ考案さてきた。
種皮の一部を傷付けたり、炎で炙ったり、酸に漬けたりする方法だ。

前に書いた、モダマ種子の海水耐性を調べる際にも、一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月と
それぞれ、種子が健在かどうか確認しなければならなかった。
今回は三ヶ月まで、テストしてすべて発芽可能と分かったのだが、
実際は、もっと長い期間でも発芽率は落ちていくものの大丈夫であろうと思われる。

これまで、幾度と無く発芽を観察してきて、モダマ種子がヘソの辺りから、
吸水しているのを観察しているので、これまでの発芽処理法ではなく、
その辺りだけを処理して発芽させられるのではないかと考えていた。
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写真は、研磨法でヘソ両脇をヤスリがけして水に浸したもの。
Entada reticulata では、2~3日で吸水が始まる。一週間もすると種皮が破れ発根がはじまる。
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写真は、吸水のはじまり。
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吸水が、ヘソの部分の表皮がめくれあがって、ヘソの方からはじまっているのが分かる。
完全に水分が種子内にいきわたると、種子の直径は二倍程に成る。
そして、種皮が破れる。
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写真は、ヘソの部分を炎で炙ったもの。
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ヘソを炎で炙っても吸水ははじまるが、熱が強すぎて胚に影響を与え、発芽しないものもあった。
いろいろ試した結果、ヘソの部分だけに熱を加える「ヘソ灸法」を考えついた。
この方法は、Entada glandulosaやEntada reticulata など小型種子のモダマには、
とても有効であった。
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直径5mm程の銅棒の先を熱して、ヘソの部分に押し当てる。
今回の海水耐性のテストは、この方法で調べた。
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20個の種子をはじめ真水に、それから海水に浸し、ひと月ごとに発芽可能かテストした。
写真は、海水へ浸してから1ケ月後に5個を発芽処理して真水に浸し、種皮が破れ発芽した
もの4個をポットに植え、まだ、種皮が破れたばかしの種子1個。その他は、
まだ、海水に浸していて、その後、継続する種子15個。
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(じつは、これまでヘソと書いてきた部分の目に見えるのはmicropyleであって、
ヘソ緒のとれた部分(ヘソ)は、すぐ横にあるが見えない。とりあえず、あの辺を
ヘソと呼んでいる)

by modama | 2012-12-03 13:04 | Comments(3)
Commented by 雲南安宿で出会ったモルゲン at 2013-01-06 17:37 x
明けましておめでとうございます。発芽テスト興味深く読ませて頂きました。そのうち機会があれば、奄美かラオスかでお会いしましょう。よかったら私のFacebook覗いてください。ではでは!
Commented by mdama at 2013-01-06 22:22 x
明けましておめでとうございます。漂着したワニの標本を見てみたいです。
Commented by モルゲン at 2013-01-26 05:19 x
是非瀬戸内町立図書館も2Fの郷土資料館(ワニの剥製も展示されている)も駐車場も全て無料ですのでお越しください。ただし毎週月曜日は休館日です。とりあえず写真お見せできないのが残念です。撮影禁止になっているものですから。


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