石垣島便り

modama.exblog.jp
ブログトップ
2013年 05月 24日

ナギの実

「ナギ」は、イヌマキ科の植物で日本では紀州、土佐、南九州、南西諸島に分布し、台湾、南中国などでも見られます。「ナギ」の和名は、沖縄方言の「ナギー」からつけられたようです。沖縄は島々の集まりなので、方言もいろいろあります。八重山地方では「ユカルピトゥヌキャンギ」といいます。「キャンギ」は、「イヌマキ」のことで、「ユカルピト」は、士族のことです。
昔、人頭税があったころ、平民は税の一環として物資の納付を義務づけられました。米、雑穀の他に船舶建造や建築のための材、ロープ繊維などです。各村々に割り当てられ、忙しい農作業の合間に山に入り、それらを調達します。建築材のイヌマキを切り出しに行くとき、ときにはこのナギーも切り出し供出したそうです。樹皮を剥がすと材質はイヌマキに似ているため誤魔化すことができたそうです。いつしか「ユカルピトヌキャンギ」と呼ばれるようになったとか・・・山仕事の時、オジーから聞いた話です。
c0023181_9235497.jpg

そのナギーが、10年ほど前に石垣島の仲筋、吉原間に街路樹として植えられました。写真はその実を撮ったものです。
数年前、中国福建省の大学で植物をされている先生が訪ねて来られ島を案内したことがあります。その時、街路樹として植えられたナギーを見て「この木は、陰樹なので街路樹にはむかない」と指摘されていました。そのとおりで、もともと山などでは、北斜面のあまり陽の当たらない場所に見られます。役所の選定は、あまり適当ではなかったようです。
それでも、植えられたナギーは、どうにか成長を続けています。この時期になると沢山の実を着けます。一時は園芸業者が実を採取していましたが、最近は採らなくなったので路上に散らばっています。
あらためて考えてみると、山の木よりも毎年沢山の実をつけているようです。そぐわない環境に植えられ、危機感を受け続ける木は、子孫を残すために毎年多くの実をつけているのでしょうか。
それに、山のものと比べると葉は小さく、黄色味が強いようです。
これは、たまたま人が適さない環境に植えてしまった一例ですが、自然界でもよくあるケースだと思います。つまり、種子の行き先によって、たどり着いた環境はまちまちなはずです。
風で飛ばされた種子の落ちた場所、水で流されてたどり着いた場所、より遠くへ旅立った種子ほど、
たどり着いた場所の環境リスクは未知度が高まります。気温、降水、季節の変化が伴うでしょう。
海流散布のように数千キロもの距離をいきなり移動した種子、それもたどり着いたはじめの地は、
海岸か汽水域なのですから、海浜性植物以外は発芽はしたものの枯死するものがほとんどなのでしょう。それでも、偶然、たまたま、奇跡的に、どうにかこうにか、やっとこさ、生きながらえ次の子孫を残す個体もあるのでしょう。
ちなみに、このナギーの種子もたまに海岸で見つけることがあります。

by modama | 2013-05-24 10:15


<< 泉湧く都      Mucuna gigantea... >>