石垣島便り

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2014年 04月 22日

Mucuna の花

今年は2月から3月にかけてMucunaの花の観察をしていた。
日本にこの属は、4種あって九州にアイラトビカズラ Mucuna sempervirens,九州、沖縄にイルカンダ
Mucuna macrocarpa,そして南西諸島にワニグチモダマ Mucuna gigantea とカショウクズマメ
Mucuna membranacea が分布する。
この中で、後種二種が石垣島に自生しており、いずれも自宅近くで見られる。
花の時期が2~4月上旬なので、2,3月自生地に通った。
カショウクズマメは、我が家の庭にも、近所の犬の散歩コースにもあるが、今年は花の着きがよくなかった。
そこで、少し離れた三か所に観察ポイントをもうけ、計9株を対象とした。

どうしてMucuna の花の観察をはじめたかというと、ひとつの理由は、ワニグチモダマの花が
本当にヤエヤマオオコウモリによって、花粉媒介されるのだろうかと疑問に思った事、
と云うのも八重山に生息するオオコウモリとワニグチモダマの花では、サイズが合わないのではないか、
(サイズと云うのは、ワニグチの花の大きさとオオコウモリの体の大きさ)といったことが、
脳裏にあったから、でも、今年、ワニグチは下見のつもりで少しだけ観察した。
少し本格的に力を入れたのは、カショウの方で、でも、実際は花とコウモリの関係を調べるというより、
前々からカショウの分布に興味があって、とりあえず、花について知っておこうと考えたのが理由。
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どんなことに興味があるかというと、カショウクズマメの種子は水に浮かない(ほぼ100パーセント)
にもかかわらず、分布が台湾の緑島、ランユウ島それに八重山諸島に限られているからだ。
台湾本島には自生せず、離島にだけあり、日本でも八重山諸島と限られている。
この分布を見る限り海流散布された種と思えるが、種子が浮かない。
さらに台湾の緑島もランユウ島も成立が火山系の島で海洋島なのである。
と云う事は、現在、種子が浮かなくとも海流散布された種ではないかという可能性が高い。
そんなことから興味を持った。

とりあえず花の生理や様々なことを予備知識として押さえておこうと思った。
ところが、カショウに関する報告はほとんど無い。
自分で調べるしかないだろう、というのが理由である。

ちなみに、ワニグチは種子が水に浮き、広域種である。
コウモリとの関係は、Mucuna 属全体を考える時の一種として知っておきたいと思ったにすぎない。
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一般には、Mucuna の花とオオコウモリの関係は深く、花粉媒介のみならず、
花の開花にも関わっていると考えられている。
実際、沖縄本島のイルカンダの花はイリエオオコウモリによって裂開されたとの報告がある。
裂開とは、花の花弁で雌蕊や雄蕊を内包している舟弁が、固く閉ざされているため開きずらいので、
コウモリが介入して開かせる、それも一瞬に開く状態を表して「裂開」と表現している。
普通花の開花は緩やかに開いていくが、Mucuna の舟弁は、ある時、はじけるように開く。
そんなことから、固く閉ざした舟弁を昆虫が開かせるのは無理とみて、
動物の介入を強く肯定している。

イルカンダとオオコウモリ、あるいは他のMucuna とコウモリの関係が報告されているからといって
すべてのMucuna にあてはめてよいのだろうか、という疑問も心のどこかにはある。

何故、このような疑問を抱くかといえば、そもそも島という陸地に海流散布されたのだとすると、
花(種子)と動物(コウモリ)との出会いは偶然の賜物にすぎない。
コウモリのいない島だってあるだろう。その場合は、他に変わる動物をということになる。
すると、Mucuna とコウモリとの関係は「共進化」と云う程の関係ではなくなる。

共進化というのは、例えば熱帯雨林のような数百万年、数千万年もの間、あまり環境の変わらなかった
森での出来事ならば納得がいくが、第四紀になってから度々気候変動を受けた地域などや、
植物の種子が長距離散布されるものにとっては、安定した関係は期待できない、のではないか、
という辺りで、キーワードとして、Mucuna,種子散布、花粉媒介者、などを調べてみたいと思った。

私はモダマにこだわりを持って調べているように思われるが、
それはモダマだけでも調べることが手一杯であったからで、
同時に同じマメ科植物であるMucuna も資料は集めていた。
モダマに比べMucuna は100種類ぐらいあると云われ、まとめるのなら種数の少ないモダマの
方が、頭の悪い私には手ごろだったこともある。
アジアのMucuna ぐらいならどうにか名前ぐらいは覚えられるだろう。(・・・だろうか)

それはともかく、今回、カショウの花を観察して、思ったことは「気まぐれな花」という印象だ。
そのことには、折々触れて行きたい。

by modama | 2014-04-22 11:17


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