石垣島便り

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2014年 06月 17日

テングノハナ

一昨日の日中、部屋にいたら犬のジンが工房の方に向かって吠えた。
工房は休日だが、誰か来たのだろうかと部屋を出て見る。
「あっ、いけない暑かったので上半身裸だ」と思った時、すでに訪ねて来た前津先生が笑顔で立っておられたので、
「すみません、こんなかっこうで・・・」「ちょっと、服を着てきます」と云うと、
先生が「いい、いい、そのままでいい」と制しながら、容器を渡されるので見てみるとテングノハナの種子だった。

この植物は、日本で石垣島の一ヶ所にしか自生しておらず、先日、先生と状態を確認しに行った。
自生状態は良好だったが、花や種子は着けていなかった。
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いわゆる絶滅の恐れのある植物であるから、先生は自分の圃場にも移植して栽培されている。
話によると「僕の所のは、今年も実を着けたよ」というので、その後、圃場に行って実を見せてもらった。
その時、「きっと、海流散布されたのでしょうね」という話になり、種子の耐塩性を調べることを思いつき、
種子が熟したらいただくことになっていたのだ。
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その種子をわざわざ持って来てくれたのに裸の対応になってしまった。
そればかりではない、他に西表島の種苗研究所と琉大熱研の関係者も同伴していた。
「すみません、こんなかっこうで」
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翌日、種子をよく観察してから海水に浮かべた。
左右に大きな翼と上下に小さめの翼をもつ実で、種子は1個、7mm程の大きさだった。固くて水に浮く。
もし、海流散布された場合、翼は波浪によって破損してしまうだろうから、きっと漂着は7mm程の種子だけなのだろう。
これでは容易に見つけることはできない。

翼の着いた実は、一見、風に飛ばされそうにも見えるが、中央にある種子が少し重いのでそれほど遠くへは飛ばないだろう。
三翼を持つヤマイモ科の実よりは飛ばないと思う。
むしろ、流れる「水散布」が適しているのではないかと思う。
それは、このテストの結果を待とう。
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この植物、学名はIlligera luzonensis といって、現在、フィリピン、台湾(恒春半島)、石垣島に分布することが知られている。
分布地からして、一見、海流散布で系統が繋がるように思われるが、一筋縄ではいかない。
それは、フィリピン、台湾産の葉と石垣島産の葉を比べると、石垣島産のものだけに微毛が生えているからだ。
現在、DNAの解析による系統関係が調べられているが、最近、流行りの机上の研究ばかりが先行し、
フィールドでの研究がおろそかになっていないだろうか。
と、私は常々感じている。

by modama | 2014-06-17 10:54


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