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石垣島便り

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2015年 07月 20日

タイの山小屋で抱いた疑問

タイのチェンライ県Waing pa pao の山中で螺旋形をしたモダマ莢を見て「何かおかしい」と疑問を抱いた。
その疑問を心に留めながらラオス、カンボジアと旅を続け、インターナショナルバスのチケットなのにミニバスで国境を越え、
乗り継ぎして夜にプノンペンに着き、宿に荷を置き日本居酒屋で「ホッ」と息をつき、枝豆を食べた時、
「あっ、やっぱりおかしい」と再確認した事が、まとまりつつある。
頭の悪い私には、随分と時間がかかった。

ところで、みなさんが枝豆を食べる時、莢のどちら側から食べますか。
と言われても答えようがないから、枝豆の形を弓に例えましょう。
弦の側(A)、弓の側(B) とします。
正解は、指でつまんだ反対側から食べるというのが一般でしょうが、食べ易さからすると弓の方を持って、弦の方を口にあてて食べると
中のマメが出易いと思います。
弦の側は縫線が太く、二つに剥がれ易いからです。そして、マメはそちら側に着いています。
この弦(A) と弓(B)の長さを比べると直線の弦側より、湾曲した弓側の方が長いことが分かります。

螺旋形のモダマ莢を見て、直感的に「何かおかしい」と感じたのは、螺旋の外側(つまり、弓側) に モダマの種子(マメ) が着いていたからです。
つまりこうなります。枝豆は弦(縫線の短い)方にマメが着いている。螺旋形莢のモダマは弓(縫線が長い)方にマメが着いている。
ちなみに、現地で測ったところ92cm:44,5cm でした。
両側の縫線の長さがほぼ同じならば、莢はまっすぐな形になります。

最近、屋根の上で観察しているタシロマメの莢を見てみましょう。


タイの山小屋で抱いた疑問_c0023181_16545633.gif
タイの山小屋で抱いた疑問_c0023181_16571135.gif
成長するにつけA 弦側の縫線より、B 弓側の縫線の方が長くなります。
ちなみに、「植物形態の辞典」ヴェルナー ラウ著によると、A 弦側が内縫線、B 弓側が外縫線というそうです。
そして、マメはA 内縫線側に着きます。写真でも小さなマメが上の方にできつつあるのが分かります。

ところが、螺旋形のモダマ莢の場合、A 内縫線の方がどんどん伸びたようなのです。


タイの山小屋で抱いた疑問_c0023181_17082419.gif
モダマの場合、節果で枠が発達していますので、「植物形態の辞典」などでは解説されていませんが、マメが着いているA 側 (内縫線)が
長く成長しているようです。

マメ科植物の中には、螺旋形の莢を着ける植物があります。例えば日本に分布する植物ではアカハダノキなどです。
ただ、モダマの仲間では、E, spiralis が螺旋形莢を着けるとされていますが、これまで多くのモダマを観察してきた中には、E, rheedii の
中でも地域や個体によって螺旋形の莢を着けるものがあります。

モダマの分類は、つくづく難しいと思います。





by modama | 2015-07-20 17:24


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