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石垣島便り

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2015年 10月 06日

モダマ調査でお世話になった人々・その3

2009,12月、カンボジア北部の町ストゥントレーンから東へ行ったベトナム、ラオス国境に近いラタナキリという地域に行った。ストゥントレーンからは小船かミニバスの交通手段がある。かつては飛行機も飛んでいたが当時は封鎖されていた。バンルンという街に行くはミニバスが便利でそれを利用した。ミニバスと言っても10名乗りのハイエースで座席後ろと屋根には荷物がぎっしり積み込まれている。未舗装の道を土ぼこりを立ててエアコンも無しで走る。午後になってバンルンに着き、予定していたヨーロッバ人が営むゲストハウスを探す。ところが休業していた。飛行機が飛ばなくなってから観光客が減り閉めたという。しかたなしに他の宿を探した。街から少し離れた場所に一軒屋風のホテルがあり、部屋が空いているか尋ねると「有る」と言う。値段を聞くと一泊5ドルだと言う。「5ドル・・・?」見た目は新しい立派な建物なのに5ドルとは安い。「部屋を見せてくれ」と頼むと案内してくれた。二階が4部屋で1階が1部屋とオーナーの部屋だと言う。「2階は埋まっているので、この部屋を使ってくれ」と言われて見せてくれた部屋は40㎡程の広さで床が石タイルでひんやりしていてチーク材のダブルベットが置かれている。ほかにクローゼットと机に椅子も有る。「ここが5ドルか」と再確認すると「そうだ」と言う。決まり。
夕方、中庭を挟んだ向かいの食堂でビールを飲んでいるとオーナーの息子の友達がオートバイでやって来た。仕事の帰りらしい。英語で語りかけてきて「明日の予定は」と聞く。そこで「私はアンコンを探しに来た」と目的を告げる。彼はモダマのことを知らないらしい。自分の部屋からコピーなどを持って来て見せた。女性オーナーや息子、使用人の女子など集まって来て何やらカンボジア語で話している。どうやらモダマ種子は見たことあるが、自生地は分からないとの結論らしい。青年の名前はマカラと言い「自分の姉さんが植物に詳しいので聞いてみるが、分かったら明日案内するか」と聞くので一日幾らでガイドするかと尋ねると「10ドル」だという。何だか話がトントン拍子で進んでいく。
翌朝、マカラ君が迎えにきた。「アンコンのこと分かったか」と聞くと「今から一緒に姉さんの所へ行こう」という。何だか雲行きが怪しくなってきた。彼のオートバイに乗ろうとしたらナンバープレートが無い。「このバイクで大丈夫か」と聞くと「心配ない」とのことだ。
街を離れしばらく走ると小さな村に着いた。ここが自分の村だという。彼の小屋を見せてくれた。おお、まさしく「ウサギ小屋」とはこれのことだ。

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姉さんを紹介され一緒に村の周辺を探したが無かった。マカラ君、また、バイクに乗れという。つぎに着いたのはゴムプランテーションの集荷場である。液体のゴムを林から集めて運び出す拠点で友達に何やら聞いている。「ゴム林に残っているらしい」ということで、また、バイクに乗って林の小道を行く。途中、作業している人に何度か尋ね、奥へと進んでいく。今度はバイクを降りて踏み分け道を歩く。あった。そこにはゴムの木から木へ渡るようにして巨大なモダマツルがあった。
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私が葉の形など確認している間にマカラ君は、林床に落ちている種子を拾ってくれた。乾季なので葉は僅かしかなく、それも高いところなので届かない。枯れた莢が幾つか下がっていた。それでも十分なサンプルが集まった。
林を出てから彼を昼食に誘った。市場近くの食堂へ行ったらPOLICEの車が止まっていたので「ナンバープレート無しでやばい」かなと思ったが、マカラ君は平気で駐車。何事もなかった。食事を終えてからバイクにガソリンを満タンに入れさせて「後はおまかせするから」と言って彼に案内させた。

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ヤクロムという火山湖?や滝に連れて行ってくれた。私の興味を知っていて自然の豊かな場所を選んでくれた。ガイドによっては「まかせる」というとマージンが貰える土産物屋とかに連れて行きたがる者もいるが彼はそうではなかった。早めに宿に戻り、私はビールを飲んだが、彼に勧めても「自分は飲まない」と断わった。約束の10ドルにチップをつけて渡すと、彼は喜んで帰っていった。きっと、昨日、宿に来た時間ぐらいまで、これからも客を乗せて仕事するのだろう。ガソリンもほぼ満タンだし「がんばってお稼ぎ」と見送った。

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彼がくれたラタナキリのマップを見ながらビールを飲んで一日を振り返った。
マカラ君ありがとう。


by modama | 2015-10-06 09:48


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