石垣島便り

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2016年 04月 26日

タイ北部山地に見られるEntada属二種の検討

タイにおけるEntada属は、南部半島部に分布するE. spiralis,中部東北部のE. grandulosa,
E. reticulata,広域種のE. rheediiが知られている。Chiang Mai近辺からは、莢が螺旋状になる個体群が知られ、それをE. spiralis扱いにして来たこともあった。しかし、その詳細についてはこれまで報告がない。
筆者は、2013年5月にChiang DaoとWaing Pa Paoに訪れた高橋敬一氏より当地採集のモダマ種子とデータをいただいた。それを見て二地域の個体群は別種ではないかと推測した。それで自ら2015年5月にWaing Pa Paoに赴き莢と葉を10地点で確認した。莢は螺旋状を呈し、葉はやや小型で、小葉先端部が鈍頭であった。広域種のE. rheediiは変化に富むが鋭頭のものが多い。
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写真は、Waing Pa Pao地域に共通する莢と葉の形態。

この年、種子、莢、葉は確認できたが、花は時期では無かった。
そこで再び2016年4月16~23日にかけてWaing Pa Pao,Chiang Dao地域の調査を行った。
Waing Pa Paoでは、昨年確認した自生地10地点以外に3地点を追加し、種子、莢、葉、花を調べることができた。確認地点の分布海抜は975m~1300m程であった。花は以下のようである。

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続いて、このタイプではない広域種のE. rheediiがどのあたりから分布するかを調べるため国道118号線チェンライ県、チェンマイ県境の峠からチェンマイ方面に向かって確認したところ前種とは数百mしか離れていない県境手前の場所から3地点共にE. rheediiであることが分った。その地域での莢、花、葉は以下のとおりである。


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これらはWaing Pa Pao西方のCniang Daoの個体群と同じ広域種のE. rheediiである。ちなみに今回の調査では、Chiang Daoでも2地域で8地点ほど調べた。つまり広域種タイプは合計11地点になる。

現地で撮影した花や標本を持ち帰り詳細に検討したところ、Waing Pa Paoに分布する種群は花の形態においても葉の形態においても広域種のE. rheediiとは異なる事が分かった。
以下は花の拡大写真である。

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写真上がWiang Pa Pao産、下が広域種E. rheedii

両個体群の花を比較すると次のようなことが言える。
○E. rheedii 花軸の長さが20~31cmであるのに対し、15~18cmと短い。
○E. rheedii 葉腋から花軸が1~数本なのに対し、ほとんどが複数である。
○E. rheedii 花軸は一本が多いのに対し、枝分かれすることがある。
○E. rheedii 花軸、がくが無毛なのに対し、褐色の微毛が多数見られる。

検討
上記のような花の形態から検索するとFLORE DU CAMBODGE, LAOS, VIET-NAM I. NIELSEN 1981によるとE. rheedii subsp. sinohimalensis Grierson & Long に近いことが分かった。
その記載では、
TYPE : Wallich 5294 A. Nepai
Sous-espece du Nepal, Sikkim, N,E, de Inde, Bangladesh, sud de la Chaine(Yunnan),
de Birmania et du Laos, en altitude jusque vers 1300m
となっている。
ここでは、タイ北部は分布地として記載されていないが、新産地の南限と考えてよいようだ。

また、莢の形態からE. spiralis との比較をするならば、螺旋形の莢形態は中国雲南及びラオス・ムアンゴイにおいても筆者は同形態の莢を観察している。これらはE. rheedii sinohimalensis
の分布域であるため個体もしくは地域変異と考えてよいのであろう。
その裏付けとしては、Flora Malesiana ser. I, Vol. 11(1) (1992) のE. spiralis 図版には花の
がくに微毛はなく、分布地域的つながりなども考慮するとタイ北部山地に分布する個体群は
E. rheedii sinohimalensis であろうことが示唆された。


by modama | 2016-04-26 12:53 | Comments(0)


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