石垣島便り

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2007年 05月 14日

幻の藍を探して

ことの起こりは、台湾でアパレル関連の仕事をされている戴秋桂さんが工房を訪ねてきたことにはじまる。
草木染に関心を寄せる戴さんは、幾度も工房を訪れ「仕事を習いたい」と懇願した。
しかし、自ら経営する店舗が台北にあるため長い滞在が許されないことと、言葉の壁があって
思うようにはかどらない。帰る時には、いつも「台湾へ是非いらしてください」と誘ってくれた。
そのころ、台湾蘭嶼島ヤミ族の染料・繊維植物を調べたいと思っていた私に渡台の機会が訪れた。
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            夕方、石垣港を出港した船は、明け方に高雄沖で停泊し、
            入港手続きの時間調整をした。(高雄の夜明け)

高雄港に上陸すると高速バスで台北へ直行、まずは戴さんのお店兼工房を訪ねた。
そこで三日ほど草木染のワークショップをすることになったが、思わぬ問題が起こった。
染める布は、彼女の工房にいくらでもあるものの、染材と媒染剤がない。
一日目はそれらの材料探しからはじまった。
「媒染剤をどのように説明して、何処で入手したらよいのだろう?」
その頃は、まだ台湾で草木染は普及しておらず、染材を扱う店は無い。
そこで、化学記号で明礬やら第一鉄やら硫酸銅などを書き、台湾大学周辺で試薬を扱う店を二人で探した。
つぎは、染材だが台北市街では思うように入手できないので、
九龍寺門前市場で生薬を扱う店を探し、購入代用した。
それに台湾大学農学部周辺から剪定した枝を拝借した。
そんなこんなでどうにかワークショップを終え、やっと蘭嶼島行きが可能になった。

その時の旅行で購入した植物関連の本が数冊ある。
帰島してから「特用植物」台湾自然観察図鑑14・鄚元春著の頁をめくっていて、思わぬものを目にした。
「大青 Clerodendrum cyrtophyllum」の用途解説には、1,葉を加工して藍色の染料としてよく利用した。2,海南島の人は蔬菜として食す。3,根は脚気、頭痛、傷寒などの治療に用いられる。4,蜜源植物として良好。などが書かれている。
私の知っているかぎりではクマツヅラ科の植物で藍含植物はない!!
だが、世界にはタデ科、マメ科、キツネノマゴ科、アブラナ科、ラン科などがあり、
アフリカでもある科の植物が利用されているという。
これまで知られていない藍含植物が台湾にあるのだろうか???
その後、日本にある資料でいろいろ調べてみた。
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「台湾樹木誌」台湾総督府中央研究所林業部・昭和十一年・金平亮三著によると和名が
「マキバクサギ」とある。しかし、染料としての解説はない。
「中国樹木分類学」陳○(山へんに栄)著では、「大青」の名で記載され、
分布が浙江、江西、湖南、福建、広東、台湾、とあるが、やはり、藍に関しての記述はない。
植物関係の本では、らちがあかないので薬学の本を調べてみた。
「生薬学」人民衛生出版社によると、商品「大青叶」に「蓼大青」「馬藍叶」「馬大青」の三種あると
書かれている。つまり、タデアイ、リュウキュウアイ、マキバクサギ由来の薬だそうだ。
いずれも薬効は書かれているが、マキバクサギ(大青)が染料として使われたかどうかは書かれていない。
その他、染料関係の資料を日本で集めても糸口が無いので、翌年の1993年再び、この植物と蘭嶼島ヤミ族の繊維・染料植物の調査にでかけることになった。

by modama | 2007-05-14 08:33


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