石垣島便り

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2014年 03月 31日

ハナボタル

石垣島はセンダンの花が満開になって、南の風にほろほろと散っている。
すでに日中は「夏日」になることもある。
お天気の良い日は「あぁ、オオヒゲブトハナムグリ日和だな~」なんて思いながら空を見上げる。

先日の夜、部屋を出ようとしたらドアに小さな昆虫が止まっていた。
「ホタルかな」と思ったが、ちょっと違う。ハナボタルあたりだな、と思って書架から図鑑を引っ張りだした。
昆虫図鑑を手にするのは久しぶりだ。
学名の最後に「NAKANE」「SATO」の名前が多く見られる。
中根先生も佐藤先生も他界されて久しい。
以前は、両先生に随分お世話になった。佐藤先生はお元気な頃、奥さんと家に訪ねてくださった事もある。
先生が亡くなられてしばらくしてから、奥さんから封書が届き、手紙に
「主人の書斎を整理していたら、貴方宛ての資料が送られずにあったので同封します」と書かれていた。

両先生、あちらの世界では仲良くやっていますか。

それはともかく、図鑑で調べてみるとPlateros koreanus のようだ。
分布は、本州、対馬、琉球(沖永良部、沖縄本島)、朝鮮半島、中国、台湾とある。

八重山諸島では記録されていないのだろうか。
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手元には、近年の情報が無い。
それにしても、若手の先生でこんなマイナーな虫をやっている人がいるのだろうか。
Webで検索をかけたら、韓国の情報がヒットできた。
でも、詳しい分布地などの記載は無い。

やはり、分類の大御所であるお二人の先生を失ったことは痛手だ。
「先生、島ではヤエヤマボタルの季節ですよ。」

by modama | 2014-03-31 11:23
2014年 03月 18日

Vigna sp 花の解剖2

前、前ページからの続だが、今日はお天気がよかったので、前回話題にしたVigna sp の舟弁から
雌蕊が突出する写真をスタッフの手を借りて撮ることにした。
「花を持って、もう片方の手で旗弁をそっと後ろに曲げてね」
事前の説明をしていなかったので、彼女から発せられた声は「キャ~」だった。
私だって初めて目にしたときには、「目が点」だった。おじさんだから、さすがに「キャ~」とは叫ばなかったが。
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旗弁を動かした時の舟弁の動きを説明すると、前、前ページで載せた写真の花を見ていただいて
ぐるっと曲がった舟弁の中間に横にくびれた部分があるのがおわかりだろうか。
その辺りから曲がりがさらに険しくなっていき、雌蕊が先端から出てくる。
旗弁を元に戻すと雌蕊は、また、引っ込むといった具合だ。
人の手で旗弁を動かすのは自然でないが、普段、昼夜の気温の変化、風による花弁のそよぎで、
雌蕊が舟弁の中で僅かに動いているのではないかと想像する。
あるいは、雌蕊自身が蠢いているのかも知れない。なにしろ舟弁の中の密室での出来事なので想像するしかない。
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舟弁の一部を切ってみたらこんな風になっていたが、当然、人の手の加わった状態だ。

普段、この花を注意して観察していることは、結実するかどうかであるが、今回も小さな莢は着いた。
しかし、数日後には落ちてなくなってしまった。
あんなに沢山の花粉を雌蕊が独占しても、受精する花粉はひとつだけである。
それも結実には至らない。
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JIRCAS のEさんの話では、「以前、Vigna の原種に近いものを栽培したが、結実した」とメールで書かれていた。
九州のアカササゲにしても結実して、実生で増やしていると書かれている。
我が家のVigna sp が結実しないのは、個体の問題だろうか。
あるいは、魔法にかけられて、自縛を強いられているのだろうか・・・。

by modama | 2014-03-18 12:43
2014年 03月 16日

花の解剖・魔法をかけられたマメの花

前のページで紹介した、居合道の達人が営む農園からいただいてきたマメ科植物は、Jircas のEさんに御尋ねしたところアカササゲかその近縁種ということで、閉花受粉をすることまでは分かった。
Web で検索すると日本に分布するアカササゲとは違うようだ。
そこで、アカササゲの分布を調べたところ、汎世界的と云ってもいいほど広い。
これでは、各地で分化が起こっていて、とうてい何処の産地とは決めかねる。
そこで常套手段として、Vigna sp,ということにしておこう。
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このマメの花を解剖したら、舟弁の中から雌蕊と雄蕊が出てきたのだが、それを顕微鏡で覗いてびっくり。
雌蕊には微細な突起が沢山あって、歯ブラシのようになっている。そこには無数の花粉が着いていた。
はじめの印象は「め、雌蕊が花粉を作っている!!」であった。いや、それほどまでに雌蕊に花粉が集中して、
花粉を作るべき雄蕊は、しょぼくれて僅かな花粉しか持たない。
E さんにメールをしたときには「雌蕊が花粉を作るなんてことがあるでしょうか」と書いてしまった。
その答えが「閉花受粉ですね」という答えだった。
「それにしても、あの魔法使いの杖先のような舟弁の中で、どうやって花粉を受け渡しているのだろうか」
という疑問が頭の中に溢れた。
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そこで、幾つもの花を解剖することになった。
こうなると子供の遊びに似てくる。
花弁をむしって、舟弁から花柱を抜き出す。ところが、曲がりくねった舟弁を刀の鞘に例えると、まるでトルコの剣のようで、日本刀のようにスッーとは抜けない。いくら居合道の達人であるMさんでも、これは難儀するだろう、などと、つまらぬことを考えたりした。

あれこれやっているうちに、思いもよらぬ出来事が起こった。
旗弁をむしろうとしたら、舟弁の先端から雌蕊が出てきたのだ。それも、生き物のように・・・!!??
「うっ」と目が釘付けになった。次の瞬間「写真を撮らなくっちゃ!!」と咄嗟に思い、花から手を離すと、
ミミズが土の中に潜るように姿を消した。「・・・・・?」、唖然とするばかりだった。
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(早速、Tさんからご指摘のメールをいただきました。「歯ブラシに花粉を着けた様なではなく、○○キンのモップみたいですね」だそうです。
「鋭い」ご指摘ありがとうございます。そうですね、化学モップみたいですね)

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自然には不思議なことが多々ある。
今、目にしたことをどう解釈したらよいのだろうか。
しばらく時間がすぎた。
「そうか!!」 もしかすると雌蕊に花粉が集まっているのは、閉ざされた舟弁の中で雌蕊が動いて雄蕊から花粉を集めているのではないだろうか。
それで、雄蕊には花粉が少なく、雌蕊に集中しているのだろう。
「何だかゾッとしてきた」 これは雌蕊による花粉の強奪ではないか・・・。
欲張りな雌蕊、舟弁を開かず、密閉された空間のなかで花粉を独り占めしている。
ナルシスト、魔法の鏡、いろいろな言葉が頭の中をよぎる。

また、また、調べることができてしまった。
専門用語でいう「雌動同花受粉」に相当するのかも知れない。
たぶん。

Vigna sp,(魔法にかかった花) Vs 居合の達人
「できるなら貴方を食べてしまいたい」 Vs 「えぇい、一刀両断、切り捨ててくれん」

by modama | 2014-03-16 10:32
2014年 03月 14日

魔法をかけられたマメの花

以前、「ずら~りマメならべてみると・・・」という児童向けの本を作った時、いろいろなマメを集めた。
初版が2006年だから、2005年のことだったと思う。
知り合いで園芸屋さんのMさんの農場を訪ね「マメ科の植物がない」と聞いたら
「マメね~、あったかな~」と云いながらハウスを案内してくれた。
彼は居合道の達人で、短めの髪をかきながら「マメは花期が短いからな~、無いみたいよ」と云った。
ハウスから出て農場を歩いていると立ち木にからみついた三出葉の植物が目についたので、
「これマメじゃないの」と聞いたら、「ああ、そうだな~」と素っ気ない返事。
「鉢物ないの」と聞いたら、ごそごそと茂みの中に入って行って、ビニールポットに植えられた苗を持ってきてくれた。
「何ていう植物」と聞いたら「分からない」と云う。
とにかく、わけてもらって家の庭に植えた。その年、旗弁の幅が4cm程の花が咲いた。
あれから、9年も花は咲き続けているのに莢は一度しか着けたことがない。
その時は、5cmほどまで成長し「ササゲ」の仲間だということは分かった。
しかし、莢はいつしか消えてなくなった。
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この花を見るたびに不思議な形だな~と感心させられる。
舟弁(竜骨弁)がくねくねと曲がり、魔法使いの杖の先か、象の鼻のようにみえる。
おまけに決して開かない。
だから、雌蕊や雄蕊を見たことが無い。

花は通年咲いているが、今の時期、最も咲くので、花を解剖してみた。
舟弁だけにして、それをそっと割ってみた。
すると花柱をとりまくように雄蕊の管があり、きわめて細い柄にたよりない葯が着いていた。
雌蕊はというと歯ブラシに花粉を着けたように見える。
いっけん、雌蕊が花粉を作っているかのように見える。それほど、たよりない雄蕊と花粉を多く着けた雌蕊なのだ。
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そこで、マメ科植物を専門にしているE さんにメールをして尋ねてみた。
「閉花受粉ですね」という答えだった。種はアカササゲかその近縁種だという。
それにしても、雄蕊のひ弱さには驚くばかりで、舟弁から出されると自分で立ち上がることもできない。
あの魔法使いの杖先の中で、花粉を作りだし、雌蕊に受け渡しするだけの役目なのだろう。
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その後、「アカササゲ」で検索をかけてみたが、日本では九州あたりに自生しているらしく、
絶滅危惧種ⅠAだそうだ。でも、Webで見る対馬産などとは、花の形、大きさが異なるようだ。
どのような経緯で石垣島に入ってきたのだろうか。
E さん、ありがとうございました。

by modama | 2014-03-14 14:58