石垣島便り

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2014年 12月 31日

長らく工房と部屋の改装で・・・

11月に工房の改装がはじまり、織機などもろもろの道具類を別の部屋や物置に一時避難し、
12月の半ばになって、工房の改装がある程度完成して道具、荷物を引越し、次に私の部屋の改装に
とりかかりました。
なにせ、床を全部取り外して張り替えたもので、これまた荷物を一旦別の部屋へ移さなければなりませんでした。
その間、PCの使えない期間があったり、バタバタしていて落ち着かない毎日でした。
それらがやっと片付き、暮れも31日の今日、どうにか形だけは間に合いました。
まだ、資料の整理などが溜まっていますが、それらは時間をかけてぼちぼちやるつもりです。

モダマやムクナの標本箱も部屋に飾り、それ以外の資料も引き出しに収めました。
みなさんも良いお年を迎えますように南の島より願っております。
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by modama | 2014-12-31 12:26
2014年 12月 07日

ボルネオ便り3

Hodgsonia macrocarpa 世界一大きなウリのタネ

7月にボルネオへ行った際、在住のN氏とモダマを探していた時にHodgsonia の実を見つけた。
彼が竿を伸ばして採ろうとしてくれたが、谷側の斜面だったため落ちると収集がつかずあきらめた。
その時、写真を撮ったつもりだった。
また、藪の中でもタネを拾ったし、コタブルの海岸でも漂着種子を拾った。
帰国してから資料を整理している時、「このタネは以前石垣島の海岸で拾ったことがある」ことを思い出した。
しかし、保存してある漂着種子を調べたが見つからなかった。
私にとってモダマ以外は、その他の種子にすぎず、人にあげたりしてしまう。
そこで、与那国のユキさんに連絡をしてみたところ、拾ってあるとのことだった。
確実に日本にも漂着している。
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ボルネオで実の写真を撮ったつもりだったので、探してみたがなかった。
また、藪で拾った種子も無く、おそらく破損していたので帰国間際処分してしまったのだろう。
コタブルの海岸で拾ったものだけがあった。(それが写真のもの)

実の中にタネが入っている写真が欲しく、ボルネオ在住の昆虫写真家N氏にメールでお願いした。
彼は親身になって調べてくれ、いろいろな面白い情報を送ってくれる。
はじめのうちは、「地元の人も知らないようだ」という便りだった。
「食べられたり、売れたり、役に立つ植物なら分かるのだが」どうも何の役にもたたない植物らしい。

先日、N氏から来たメールでは「タンブナンの地元知人に聞いたところ、「昔、爺さんがリスに似た獣の罠に
仕掛ける餌として使っていた」との情報だった。
知人の畑の隅にあるらしい。

次に来たメールのタイトルは「来年まで 待ってください」 というものだった。
すでに実は無く、葉だけだったそうだ。
それもそうだ、実はまだ熟していなかったが見たのは7月だから、もう、落ちて獣の餌になっているだろう。
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            Poto by Nakaseko

by modama | 2014-12-07 11:09
2014年 12月 04日

モダマ種子の浮力について

今年の漂着物学会大会は石垣島で11月に行われた。
今回は「石垣島における旧汀線と南方系海流散布植物について(バンナ岳のモダマ調査より)」と題して、
口頭発表をした。
これまで調べてきた石垣島のモダマを主とした南方系海流散布植物の自生地上限が旧汀線の海抜80~
100m程に位置することを報告した。
南方系海流散布植物の中でも他の散布(動物散布、風散布)がおこりにくい、モダマ、サキシマスオウ、
ミフクラギ、サガリバナ、ナンテンカズラ等を指標植物として対象とした。
また、海浜性植物や汽水域植物は対照外とした。
旧汀線とは、今から13~20万年前に石垣島を含む八重山諸島に海水準が位置したことによって島々の
周囲に琉球石灰岩の段丘を形成したり、ブネラ海成粘土層を堆積させた境界のことである。
石垣島の南方系海流散布植物は、旧汀線よりやや上部を上限として分布している。

昨年の漂着物学会大会は千葉県の銚子で行われ、その時はポスター発表をした。
アジアに分布するモダマ種子が有する浮力率に関する内容で、当日はポスターに実物のモダマ種子を
貼りつけて展示した。
最近になって、その時のモダマ種子の写真を撮影したので、ポスターに添付してサイズをさげて保存した。
以下が、そのポスターである。
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このポスター写真の下の部分には、アジア各地で集めた漂着モダマなども表示されているのだがはぶいた。
まだ、中間報告の段階であるが、内容はアジア・オセアニヤに自生するモダマの種子を図の周囲に表し、
地図の右上には、世界に分布するモダマ属の種を表した地図と、中南米、アフリカ、アジア・オセアニヤと
太平洋諸島、それぞれに分布する種を書き込んだ。
中段左には、アジア・オセアニヤに分布するモダマ種子の浮力率を表した。
下段右の図は、アジアにおけるモダマ属の種の分布図である。

モダマ種子の浮力率は、ネパール、中国雲南、ラオスなどの山岳部では低く、沈むものがほとんどである。
タイでは、やはり山岳部は低く、平野部との違いがありまちまちであった。カンボジアは多くが浮く。
小型種子のモダマでは、Entada glandulosa が沈み、E, reticulata はタイのが率が低く、ラオスのが
率が高かった。フィリピンのE, parvifolia は小型種の中では最も率が高い。

ここでは記録していないが、今年の7月に行ったボルネオでは、分布域が海抜700m程まである
E, borneensis は、ほとんど浮力を有さず、海抜の低い地域に自生するE, rheedii は浮力率が高い。

これらの結果から、浮く種子は流され易く、沈む種子は留まり続けたことが示唆される。
山岳部に留まった個体群は、長い年月の間に流出という選択圧を受けたのであろう。
一方、浮く種子は、川を下り、海洋を漂い分布域を広めていったことが窺える。
大陸の中でもカンボジアが最も浮力率が高く、島々でも高い。
ただし、フィリピンのブスアンガ島のE, rheedii は意外と低い。
島の中でも、山があり、長い年月を経ることによって浮力保有率は変化するのだろう。
大陸内部の山岳地帯でも隔離は起こるし、島に流れ着くことでも隔離は起こるのだろう。
そして、島に流れ着くことに寄って、再び拡散の機会をも得ている。
隔離と拡散が常についてまわるのが海流散布植物の特徴とも言える。

石垣島のような分布の北限に近い分布地域では、比較的新しい時代に到達したためか、全般に浮力率は高い。

by modama | 2014-12-04 16:12