石垣島便り

modama.exblog.jp
ブログトップ

<   2015年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧


2015年 02月 28日

モダマを追って旅するアジア、7-1, スリランカ編

今回の旅は、飛行機の乗り継ぎがつづく長い旅であった。
いずれにしろ、島で暮らしていると「他の地」に行くには、飛行機か船を利用しなければならない。
島の交通網は限られているので、南の地に行くにも、一旦、北上してから再び南下することが多い。

昨年、7月にボルネオに行った時も、石垣、沖縄、羽田、成田、コタキナバルといった具合である。
石垣と成田の距離は、石垣、コタキナバルの距離にほぼ等しい。
つまり、北上した分の二倍南に下らなければならない。
それも、石垣島の上空に近い空を飛んで行くのだ。

今回は、石垣、沖縄、台湾というコースを試みた。
しかし、乗り継ぎがうまくいかず、台北の空港で一夜を明かさなくてはならない。
EVA AIR の運賃が安い分、Evergreen Transit Hotel で宿泊すると、羽田や成田まで行って格安便に
乗るのと運賃は変わらなくなる。うまくできている。

今回の旅程は、石垣、沖縄、台北、バンコク、スリランカ、ジャカルタ、パガンダラン、ジョグジャカルタ、
ジャカルタ、バンコク、台北、沖縄、石垣と飛行機を乗り継いだ。
その他、スリランカではコロンボ、キャンディー間を、行きは一等列車、帰りは二等列車に乗った。
ジャワでは、ジャカルタからパガンダラン間を9時間の予定が10時間かけてバスで移動した。
バガンダランからジョグジャへは、ミニバスと列車の二等を使った。
これだけ乗り継ぎが多いと当然アクシデントもある。
パガンダランへ行く時は洪水で道路が冠水していて渋滞に巻き込まれた。
ジョグジャ、ジャカルタでは、1時間ほどのフライトに対して、9時間も待たされた。
まあ、いろいろなハプニングがあるのはしかたない。

今回のモダマを追う旅のメインの目的は、スリランカのモダマを確かめることである。
これまでに、知人、友人からスリランカのハーバリュームのモダマ標本情報は得ている。
そして、その体験談として、スリランカのハーバリュームの敷居は高いという話も聞いている。
しかし、私は標本を見たいわけではない。
現地の自生地に行って、周辺の地形や植生をこの目で確かめたいのだ。
そして、現地の人がモダマをどう呼んでいるか、利用しているか、動物が種子散布に関与しているか等を
実際確かめたいのだ。
そんなことで、スリランカ入りした。

バンコクから飛行機でコロンボに入国し、空港からタクシーでコロンボフォード駅前にある安宿に泊まる。
c0023181_11373567.jpg

c0023181_11375840.jpg

とにかく目的地は、モダマの自生するというキャンディーで、コロンボは通過地にすぎない。
翌日、列車に乗るのに便のよい駅前に宿を取った。ところが、商店街の雑踏の中にある宿が探せない。
見つけたのは、地元の人などが上京した際に泊まる宿である。
間口は半間ぐらいで、狭く暗い階段を上がっていくとフロントがある。
宿にチェックインして、すぐに、向かいの駅で翌日発の一等列車の座席指定を予約する。
用事がすんだので、街中をぶらつくがとにかく暑い、人出が多い。
宿に戻ると、まもなくして部屋のドアをノックする音が・・・
マスターが「日本人だ」と、一人の男性を紹介してくれる。
話をしてみると旅行者で、多肉植物に興味を持つ人だった。
しばらく情報交換をして、翌日に控えて早めに寝る。
c0023181_1243399.jpg

c0023181_1244967.jpg

キャンディー行きの列車がフォード駅に入って来た。
私が乗ったのは最後尾の車両で全席指定、二等車には席とりの乗客たちがまだ停車しないうちから飛び乗っている。
列車が発車してまもなくコロンボ郊外を抜けるまでの間すれ違う列車は大混雑だった。
c0023181_12141296.jpg

日常的な光景なのだろうが、帰りの列車は二等と決めていたので覚悟を持って眺めていた。
しかし、帰りのキャンディー発の二等は、それほどの混雑はなく、コロンボ郊外にきてから同様の混雑ぶりとなった。
この選択は的を得ていた。

列車の旅は快適だった。
最後尾の車両の前方には、白い制服を着た車掌が居て威厳をもって対応していた。
きっと植民地時代のイギリス風なのだろう。
一度、乗車券の検閲に来ただけで、後はずっと控え室に居たが、前方の車両の総括をしているのだろう。
列車には、二等の車掌や物売りも乗車している。それらのキャプテンなのだろう。

キャンディーに近づくと列車は山間部を走り素晴らしい景色が続いた。
c0023181_12355727.jpg

c0023181_12362554.jpg

c0023181_123644100.jpg

昼近くにはキャンデーの駅に到着、その日の宿を決めるためキャンディー湖へ移動する。
目的地のUdawattekele Sanctuary に近い宿を確保、しかし、まだ時間が早いのでチェックインはできないと言う。
そこで、荷持を預けて向かうことにする。
まずは、街を廻って土地勘を得る。それからサンクチュアリーの入域ゲートへと行く。
湖周辺の街並みは、落ち着いていて美しいが外人観光客が多い。
c0023181_12505233.jpg
c0023181_125167.jpg

事前に調べた情報によると、スリランカのハーバリュームが所有するモダマ標本のラベルには、
Locality Udawette kelle above Kandy Wat zone とある。
ここには、PLANTS of CEYLON とタイトルが記されDeta 10,Oct,1978 とある。
随分古い標本であるが、一方、グーグルアースで検索すると貼り付けられた写真にモダマがある。
こちらはそれほど古くないので、現在でも自生していると確信している。

とにかく早く自生地を見てみたいという気持ちで、サンクチュアリーのゲートをくぐる。
観光地の近くにあるため入域料も高い、おまけに受付のオバサンがつり銭が無いと言って引き出しを見せる。
小金稼ぎの常套手段であることは分かっているが、一応、帰りに払うようチケットにサインを入れさせる。
何やらコチョコチョと書いたが、読めない。
c0023181_1323478.jpg

c0023181_13201986.jpg

c0023181_13204392.jpg

サンクチュアリのジャングルの中には遊歩道があって、小さな池の周りを歩いてみたがモダマは見当たらなかった。
そこで、北側の谷に沿った踏み分け道を歩いてみることにした。
細い道を歩いていて、空腹であることに気づいた。そおいえば朝、列車に乗る前にコーヒーとパンを食べただけだ。
宿に荷物を預けて身ひとつで貴重品の入ったバックだけを持っている。カメラはあるが水も持参していない。
サンダル履きでのジャングル歩きである。
まもなくして、前方で何か生き物の気配がした。 
静かに進むと、小型のイノシシの群れだ。
体調50cmぐらいのが20匹ぐらい居る。
スリランカのイノシシは、こんなに小さいのだろうかと思ったが、よく見ると横筋模様がはいっている。
子供だ。と気づくと、後ろに1m以上もある親と思われるイノシシが見かけられた。
「これはやばいかも」と思う間も無く、親のイノシシが気配に気づき走りはじめた。
いっせいに谷を下りていった。

そこからしばらく進むとモダマのツルを見つけた。
葉を確認するため樹冠を見上げていると、何やら獣の舌が私の手を舐めた。
ギョッとして、手を引っ込め、下を見てみると黒い犬だった。
「何で、こんな所に犬が居るの!!」・・・???
びっくりした私に、犬もびっくりして身を引いたが、夢中で親愛の態度をとっている。
私がずっと樹冠を見つめている間に近づいて来たが、まったく無視されていたので手を舐めたのだろう。
一度も吠えずに尾を振っている姿態度からして、飼い犬で人恋しいとみられる。
少しかまってやると、切が無くじゃれつく。
挨拶がわりに「クロ」と名前を着けて呼んでみた。不満はないらしい。
その後、林床にモダマ種子が落ちていないか探し歩いているときもずっと後をついて来た。
それからというものは、先になったり、後になったりしながらずっと就いて来た。
c0023181_14105684.jpg

c0023181_14114094.jpg

その付近でモダマを三本探し、少し上ったところで遊歩道に合流して、また、三本ほどのモダマを見た。
いずれも種子も莢も葉も確認できなかった。
ここはサンクチュアリ地域内であるから、自生を確認するだけでも十分である。
グーグルアースの写真は、周遊道の脇にある個体であることも分かった。
そこには、たて看板があって説明もあった。
c0023181_14134543.jpg

c0023181_1414618.jpg

c0023181_14142890.jpg

遊歩道脇に自生している個体の看板には、Pus Wela と書かれ、学名がEntada pusaetha となっていた。
c0023181_14223483.jpg

前にも書いたスリランカのハーバリュウムのモダマ標本には、学名がEntada monostechya となっており、
後から手書きで=ziylanica と付け加えられている。
それに対し、今回の名札ではEntada pusaetha 扱いになっている。
E,pusaetha とは、E,rheedii のことである。
今回の旅は、このへんの学名の扱いについても検討したいと考えている。
そのためにもより多くの個体と、葉、種子、莢、花を見たい。

ここでは、六株を見ることができたが、詳細を検討する材料が無い。しかし、自生地を確認できただけでも成果といえる。
ほっとしたとたんお腹がすいていることに気づいた。
脚も何箇所かヒルが着いていて血が流れている。それにモッコ、ヌカカのような虫にだいぶ刺された。
c0023181_15471262.jpg

「さあ、帰ろう」 クロは相変わらず道案内をしている。
それにしても、このサンクチュアリ内にどうして紛れ込んだのだろうか。
飼い犬であることに間違いはない。
家に帰れないのだろうか。

今度は遊歩道を通ってゲートに向かった。
ゲートの前でチケット売りのオバサンが掃き掃除をしていた。
僅かなつり銭を催促するのも面倒なので、そのまま声も掛けずに通過しようとした。
するとゲートの前で寝ていた犬がクロの気配を感じて起き上がった。
この犬の方がクロよりひとまわり大きい。
私の後をついて通過しようとしたクロは、その犬に吠え立てられ、またジャングルの方へ逃げていった。

「そうか、クロがこのサンクチュアリから出られないのは、入域料を払っていないから・・・かな ???」
チケット売りのオバサンに「俺のつり銭でクロを出してやってくれ」 と頼もうとしたが言葉が分からない。

クロ、さようなら。道案内ありがとう。

by modama | 2015-02-28 10:51 | Comments(3)