2014年 07月 26日
キナバル マウンテン ロッジ付近で撮影 今回の「モダマを追って旅するアジア」は、Entada borneensis を探すボルネオへの旅だった。 この種は、古い標本として「FLORA OF BRITISH NORTH BORNEO」として存在するが、 詳しい報告は無く、DNA による系統関係も調べられていない。 ボルネオの特産種であるが、島内における分布地の詳細も分かっていない。 事前に情報を集めたが、サラワクのムルやサバのパパール山岳部にあるらしいことだけがわかった。 そんな時、日南の八木さんから「ボルネオのモダマをあげます」と云って送られてきた種子を見てびっくりした。 まさに探していたE,borneensis の種子だった。 その出所を尋ねたところ、ボルネオ在住のカメラマンN氏であることが分かった。 彼とコンタクトを取り、訪ねることを決意した。 ブルネイの国花にもなっているSIMPOH の花、ボルネオの海岸から山中までいたる所で見られる。 コタキナバルに到着したのは7月3日、何処の国へ行っても同じだが、はじめ降り立った都市では数日滞在して、 国の雰囲気に慣れる、市場の様子を見て、買い物をしてお金の単価の実感をする。 いきなり遠出をせず、近場から歩き始める。 そんなことをして街暮らしをしているうちに気候にも慣れる。 はじめに出かけたのは、コタキナバル近海にある小さな島だった。 poth by Nakaseko コタキナバルのハーバーから民間の乗るボートで出かけたのはガヤ島、街とは数キロの距離しか離れていない。 この島々はTunku Adbul Rahman Park に指定されているが、ガヤ島だけには海上生活者の住居区がある。 それ以外は、リゾート地区と保護区。まずは海上生活者の地域に訪れた。 渡しのボートは、30円以下だったと思う。観光客はツアー会社のチケットを買ってビーチや桟橋に上陸すると 1000数百円と公園入場料がとられる。 桟橋から上陸して集落に入る。 上陸してまもなく「うわ~」と声を上げてしまった。ここはまさに生活の場であり、現実なのだ。 漂着ゴミの溜まり場だった。 小高い峠を越えると反対側の海辺に学校があった。学校も水上家屋だ。施設は充実しているようだった。 しかし、すべての子供が学校へ通っているわけではなく、村々を歩いていると子供たちがバレーボールや サッカーをしていた。この海上集落とジャングルを隔てた島の西部がリゾート区域になっている。 リゾート区域への道は無い。また、一般のボートもリゾートの桟橋へ着けることはできない。 別の日には、さらに小さなサピ島とマヌカン島へ渡った。これらの島には住人はおらず、 ツアー会社のチケットを買って、公園入場料を払って上陸する。 私は海浜施設には興味がなく、トレイルを登ってジャングルに入った。 サピ島ではじめて目にしたものは、これまで東南アジアの国々で見たフタバガキの種子よりも一段と大きな 種子だった。きっと世界一大きなフタバガキの種子だろう。 トレイルの斜面が緩やかになった尾根筋でガサガサと云う物音がした。 何だろうと目を凝らして見るとオオトカゲが逃げて行く姿だった。とてもじゃないが写真に収める暇がない。 三匹ほどやり過ごすと、道の脇に居たものとバッタリ出くわしてしまった。 相手もどうして良いものか戸惑っていたので、静かに座って自分の動きを止めた。 「こんにちは、何もしないからね。写真だけ撮らせてね」ゆっくり、ゆっくりカメラを向けた。 1,5m程の距離からじっくりオオトカゲを見ると、その爪の大きさにドッキリした。 あんなものでひっ掻かれたら、ひどい傷をおうだろう。何だか獣臭さも漂ってきた。 10回程シャッターを切ったら、舌を出してこちらを見るので、もう限度だなと退散した。 また別の日には、マヌカン島へも行った。 同様、海水浴施設には目もくれず、トレイルを登った。しかし、ここの森は棘の多いヤシばかしで、 植生が乏しい。小さな島だからいたしかたないが、見るべき物が無い森を歩いていると暑さで眩暈がしてくる。 しばらくして島の反対側の海岸に着いた。波打ち際の岩場にヒルギが生えていた。 石垣島では、ヒルギ類は汽水域の泥湿地に生えているが、ここは、もろに海水の影響を受けている。 これから先は、海岸に沿って歩くことにした。 岩場は砂岩からできていて、西表島の南海岸を歩いているようだった。 岩場と岩場の間に小さな砂浜があり、ビーチコーミングをした。はじめに目についたのは何者かの足跡で、 西表島ではせいぜいヤシガニの足跡か、海から上がって来た亀のものが最大級だが、ちょっと様子が違う。 すると陸側の茂みをガサガサと逃げて行く気配がする。海辺に下りてきたオオトカゲだった。 「おっ、何だこれ・・・?」砂に半ば埋まった球形の大きな実があった。 まるでマリオに出てくる爆弾のようだ。「もしかして・・・かも」きっとグループに分かれた爆薬が入っているに違いない。岩に叩きつけてみた。 この破片が日本の海岸にも漂着するホウガンヒルギだった。
by modama
| 2014-07-26 11:57
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