石垣島便り

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2015年 10月 12日

モダマ調査でお世話になった人々・その6

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(写真はキナバル山を望む、麓では火入れが行われている)

人や物の出会いは不思議である。ある日、同じ学会に所属するYさんからモダマが送られて来て、それがE. borneensis であることに気づいた。本種のことは標本写真では知っていたが実物を見るのははじめてで、是非とも自生地を訪ねたいと思っていた。そこでYさんにそのモダマの出処を尋ねたところ「ボルネオ在住で昆虫写真を撮っている人」だという。早速、コンタクトをとった。「写真を撮っていて見つけたモダマで、どれが何処のか、区別はつかないがタンブナンのものだろう」ということだった。何はともあれ、彼の足跡をたどれば自生地に行き着くはずだ。そこでボルネオ行きを計画した。
漂着種子を探すのに良い海岸線のある場所で、そこに流れ込む水系がある程度の高度をもった山系に源を発する場所、いろいろ検討したところコタブルを根拠地にして調査することに決めた。そして、在住の中世古さんにタンブナンへ連れていってもらえれば、サンプルも確実に入手できると考えた。
そこで来訪を告げ、中世古さんの住所を聞き、落ち合う段取りとなった。返信のメールに書かれた住所は、私が目的地としていたコタブルだった。以前はタンブナンに居て、現在はコタブル郊外に住んでいる、なんという偶然だろう。
コタキナバルに着いてから、近辺の離島を回り、数日後コタバルで中世古さんと会った。その日から数日彼の家にやっかいになり、浜を歩いたり、E. rheedii の自生地やMucuna の自生地を案内してもらった。その時、彼がここにもモダマがあると言って車を止めた瞬間「・・・?」「何か違う」と思った。これまで見てきたE. rheedii とは違う。葉の色つや形、それに花序の付き方。そして、わずかに残っていた莢を見るとE. borneensis なのである。「これですよ、これ、これ」あまりにもあっけない発見に大喜びした。


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それから私は一度、コタキナバルに戻り、キナバル山の麓にあるロッジに向かった。途中バスの車窓からもE. borneensis を見つけた。それは、先日、中世古さんと見つけた自生地に近い場所だった。海抜は700mを少し超えた尾根であった。数日、キナバル山の中腹を散策してから、ロッジに中世古さんが迎えに来てくれた。タンブナンへ行く約束をしていた。途中、ポーリンでフロレシアの花を見たり、Mucuna の自生地を巡ってタンブナンの元の借家の大家さんの家に宿をとった。

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タンブナンでは、モダマ自生地の地主に挨拶へ行ったりしてから、現場に向かった。ここでも莢を見つけサンプルを得ることができた。


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その後、コタキナバル在住のTさんからも情報が入り、別の場所の自生地も確認し、メランカップでも地元のクルソーさんに案内してもらい計5か所で10数株を観察できた。

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写真、メランカップのクルソーさんに案内してもらった自生地。彼はモダマには男モダマと女モダマがあると言っていた。E. rheedii とE. borneensis を指すのだろう。


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タンブナンの元大家さんの家で撮影。
中世古さん、クルソーさん、大家さん、Tさん、大変おせわになりました。
ありがとうございます。

追記、今回のボルネオ調査ではE. borneensis とE. rheedii の分布域を確認した。E. rheedii は海抜の低い低地から麓にかけて数十株を、そしてE. borneensis は分布上限を海抜800m程にして十数本を調査した。海岸線では数千個のローカルドリフトした漂着E. rheedii を目視した。また、海岸林で自生するE. rheedii も見つけた。第三紀中新世に貫入した花崗岩から成るキナバル山の隆起速度は現在5mm/E だという。種子浮力を喪失したE. borneensis は分布上限などから考察すると、より早く到達した種だと思われる。今後、この種のアジアにおけるEntada属の系統的位置づけを調べる必要性を強く感じている。


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写真、E. rheedii の莢を持つ地元青年。なを、ここで使用した写真には中世古氏の撮影したものが含まれている。この場を借りて御礼申し上げます。


by modama | 2015-10-12 11:16


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