石垣島便り

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2015年 10月 14日

モダマ調査でお世話になった人々・その7

ラオス・ルアンパパーンにはこれまで三度立ち寄ったが、中国シーサンバンナからバスで南下したり、カンボジアから北上したりで、今回はタイ北部のチェンコンからメコンを船で下ってみた。一泊二日の船旅で、河岸の植生を観察した。モダマの水散布を考える良い機会になった。これまで海流散布に目が向けられがちであったが、東南アジアでのモダマ拡散は河川や氾濫原を考慮しなければならない。また、種子浮力の喪失を考える上で、山間部の地形は鍵を握っているはずである。

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写真、メコンを下ること二日、渓谷からルアンパパーンのある盆地にさしかかると地形は徐々に開けはじめ石灰岩の崖が現れる。洞窟に仏像が祀られた聖地。

前回、前々回ルアンパパーンを訪れた時、周辺の山々にモダマ自生地が多くあることは聞いていた。しかし、さらに北部のムアンゴイなどに行く途中でもあり日程の都合で調査はしなかった。今回はルアンパパーンのサンプルを得たいと思っている。
宿に荷を置きレンタバイクを借りた。前回、バスでビエンチャンへ向かう途中、峠の茶屋でモダマ莢を見かけているので、南部の山へ向かった。山の麓にさしかかった処で休憩をしていると「モダマ自生地のありそうな地形だな」と感じた。竹の柵で囲まれた入口から子供が二人出てきたので尋ねてみることにした。もちろん言葉は通じない。モダマ種子を取り出して「この辺にマッレーはあるか」と聞いてみた。子供は種子を見て「マッレー」と口にした。知っているのだと判断して、周囲を指さした。子供は柵の中を指さしたので、裏山に自生地があるのだと確信した。やがて母親らしい女性が出てきたので聞いてみた。もちろん言葉は通じない。
私の問いかけに戸惑っていたが、とりあえず入口から中へ入れという仕草をしたので、バイクを押して敷地の中へ入った。

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男性が一人枯れ木を切って薪を作っていた。女性に「私はマッレーを見たいので連れていってくれ」と裏山を指さして頼んだ。私は日本語だったり、英語だったり、身振り手振りを交えて懇願した。彼女の言葉はラオス語だから私にはさっぱり分からない。そのうち「マネー」という単語を聞き取ったので「お金をくれるか」と言っているのだと理解し、とりあえず小銭を渡した。それを見て不満げだったので「帰って来てから、また払う」と説明をした。このような場合、必ず後払いにしなくてはならない。
女性が薪を切っている男性に何か相談している。男性はしかたなさそうに作業の手を休め、私のところに来た。様子を見ていた子供が男性に行こうと催促しているようだった。これで交渉は成立した。子供が小屋から肩掛け袋を持って来て先頭にたって歩きはじめた。


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焼き畑で以前パイナップルを植えていたらしい斜面を登って森の中に入った。二人の足取りが早く、息切れしている私は、だいぶ差をつけられた頃、斜面の上の方から呼ぶ声が聞こえた。道の無い斜面を登って行くとモダマのツルがあった。二人はすでに種子を沢山拾い始めていて持って来た。「もう、これで十分だ」「あとは、葉が欲しい」と頼んだ。男性は手ごろな木を探してよじ登り、一本のツルを切ってくれた。「ok,これでいい」「写真撮りたいから」とお願いするとそれに答えてポーズをとってくれる。森の中では苦せずして意思の疎通ができる。

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山から下りて家に着くと女性たちが待っていた。採って来たモダマ種子を見せると「なんだ、それだけでいいのか」という仕草をする。私は「商売じゃないから、これで十分」と言おうとしたが通じるはずもないのでやめた。男性に謝礼として、日本の時給ほどの金額を渡した。男性も女性もその札を見て、眼が点になっていた。思わぬ報酬にびっくりしたようだ。私は「この一部で子供たちに何か買ってやってくれ」と言ったら分かったようだった。


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しばらく休んでいると女性が家からノートを持ち出して来て、男性に手渡した。そこには一枚の紙が挟まっていて、それを見せてくれた。顔写真が貼ってあり、公印が押されていることからして何かの証明書のようであった。見せられても読むことができないので、写真を撮ってもよいかと尋ねると頷いた。土地所有の証書だろうか。つまり、モダマ種子を私が譲渡しましたという証拠にしろという心遣いなのであろう。
名前を聞くことも読むこともできなかったが、お世話になりました。
ありがとうございます。

追記、ルアンパパーンのモダマ種子は、形質が比較的均一で浮力も無かった。ミャンマーのものとはだいぶ違う。隔離と選択圧によるものと推測している。


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by modama | 2015-10-14 10:56


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